こむらがえり

夜中、右足のふくらはぎがむらむらと腫れてきて、

やばい! こむらがえり!!

とベッドの上で半身を起こして膨れあがってくるふくらはぎを撫でたりさすったり。いよいよ筋が引っ張られてきて、ううっとうなる。

最近二度目。

先日もゴッドハンドの手を借りた。

右踵が痛くて歩けず、歩けないと仕事にならないので、躊躇せず車で運んでもらった。

 

「最近、こむらかえり起こさなかった?」

と聞かれた。

そう、そういえば、覚えがある。

「せんせい、こむらがえりってどうして起こるんですか?」

と尋ねると、

「そうね、いちばんは冷え。」

以来、古いハイソックスを切ってふくらはぎに履いて寝ていたのだが、その夜は横目で見つつ、めんどくさい気持ちで履かなかった。

谷崎潤一郎全集の第12巻、装丁は棟方志功である、を枕をクッションで高く盛って、頭を預け、老眼鏡の最強のものをひっかけて顔を横にして読むしあわせ。

なまなましい世界である。

なまなましいし、意地の悪い世界でもある。

 

頭がなんとなくぎらついているのは、「古事記万葉集」の中間試験ともいうべき問題集の締め切りが迫ってきていて、その日一日勉強らしきものをしたからか。

 

こむらがえりは、最悪の痛みのやや手前で治って、隣の夫に、こむらがえり!

と言う。

眠っているひとにわるいかとも思うが、言わずにはいられない。

ふぇというような声を出すので、こ・む・ら・が・え・り!!

と大きい声を出すと、起き上がって私の足をなんとかしようとするので、いいのいいの、と引っ張って寝かせる。

サッカー部だった彼の、足がつったときの処方はあらっぽくて、後遺症が残る。

足がつっているのに、つっている足のつま先をつかんで反対方向へ折り曲げて、筋を伸ばすのだ。

これをやられると、悲鳴をあげそうに痛いばかりでなく、硬くなったふくらはぎがへんに強ばってしまうのだが、本人によれば、足がつったときの一番の方法なのだそうだ。

 

その後、寝付けなくなった。

夫のイビキ。

ねえ、イビキ!

というと、ふぇぇ、イビキなんかかいてないよぉ、と生意気なことを言うが、覚醒後意識にのこっていない。

イビキかかないで!

と何度も言うが効き目はない。

下に行って寝てもらおうか、と思うのだが、夫が下の、建増し安普請の部屋で寝ていて、地震が来たら、と思うと下へ行けとなかなか言いにくい。

もし地震が来て、彼だけ安普請の建増しした部屋でつぶされてしまったら、夫のイビキがうるさいばかりに、殺人の罪を背負って生きなければならない。

本気で思う。

従って、イビキに悩まされて眠れない夜を過ごし、ぼおっとした朝を迎える。

つった右足は硬ばって歩きづらい。

 

現場に車で行くのを止めて、電車とバスで出かけた。

たらたらと歩いて、車だと30分で行くところが1時間以上かかり、ホールに着くとすでに5歳児が並んでいる。

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