月曜日。
一日中、蛸唐草、蛸唐草、と思いつづける。
三橋工房が、三橋京子さんが頭から離れない。
夏着物にこの金額は高すぎる(わたしにとっては)、結局夏は暑すぎて着物の出番がないし、欲望を食い止めようと、もがく。
去年はなにかの本で小千谷縮がよい、と書いてあったのを読んで洗脳され、小千谷縮でもんもんとしていた。
リサイクル品を二着ゲットしたが、二着とも一度づつ着ただけである。
おしゃれ着洗いで洗えるのは助かるが。
もがけばもがくほど、絡めとられるのは自然界の法則。
一度電話をして、蛸唐草のグレーをみせてもらおう、と自分なりの結論を出す。
お買い上げの方向に踏み出したってこと?
意識とはうらはらに・・。
ラ・ロンダジルの鏡の前で合わせてみたのはカーキ色で、日本の呼び名では利休色である・・しびれる!
とうとうラ・ロンダジルに電話して、グレーのものが見たいと言うと、工房で在庫をチェックして火曜日に電話をしてくれる、と言う。
会期は木曜日まで。
電話は火曜日の12時ころになるという。
火曜日は自粛日で午後の外出はためらわれる、水曜の日野の現場から神楽坂へ直行するルートを検索しておく、最悪木曜日だな・・。
思いがけず、火曜日の12時より15分ほど前に電話がかかってくる。
在庫が用意できている、という。
うぅっと唸って、
「今からいきます!」
そんなこともあろうかと思って、着物を着て待機している。
用意周到なかんじである。
小雨が降ってきたが、まあいいや、とずいぶんと大胆な自分。
濡れると困るはずの黒い鼻緒の草履を履いてさっさと出かける。
物欲が日頃のせこさ、臆病さを払拭して、大胆にさせてくれる、ありがたいような気分である。
美しいラ・ロンダジルの店員さん。手に持つのはボールペン・・蛸唐草のカード支払いのサインのため!