ザックが死んでしまう。
空のぬけるような青さのなかに、ザックの魂が飛んでいってしまう。
なぜ今日なのか?
悲惨な保護犬として我が家にやってきて9年。
初めの1年間は格闘だった。
明け方から日が暮れるまで泣き続ける犬に試したもろもろ。
ペットボトルに砂を入れて物干し台から投げつけて脅したり、お酢とハッカを混ぜたスプレーを鼻先に噴射したり、どなったり、ケージを叩いたり・・。
隣近所からのプレッシャーもたいへんだった。
私は、自分以外のものに、こんなに尽くしたことはない。
娘にも、息子にも、これまでのに犬も猫にも。
私は私なりにザックという傷を負った雄犬に、私も同じ傷を負う存在だから、だから尽くした。
これまでの犬にしてきたこと以上のことをこのこたちにはしよう、と決めていた。
お散歩の距離も伸ばし、餌のグレードもあげ、それからちゃんと触れること。
しっかりと手で触れる、そのことを励行してきた。
ああ、それなのに早すぎる死。
なぜ、と思いつつ、水曜日の高幡不動できもちがおかしくなった、あれは予感とかだったのか?
くらくらするほどに喪失、ああ、ザックは死ぬきなんだ、と。
帰り道、娘から、ザックとピッキーは多摩川まで散歩に行った、とラインがきて、ああ取り越し苦労か、とこわくて様子をきけなかったことがすこしおかしかった。
だから大丈夫、げんきになる、すこしづつよくなっている、そう思った矢先の急変。
ピッキーとやってきた道を、ザックだけ帰って行った。
ピッキーは、これから単独で猫と一緒に生きていかなくてはならない。