前日までは、別の路線で行こうか、どうしようか、と思っていたのだが。
正月明けの現場、20分も早く着いてしまう。
高幡不動のルパでスープでも飲んで温めてから向かおう、と思う。
寒いところで時間をつぶすのはつらい。
たいていの場合我慢してしまうのだが・・。
いくばくかの現金を稼ぎに行く途中で金を使うのがいやなのだ。
ひとりで飲食するのが苦手だ、ということもある。
ルパに入ってスープありますか、と聞くとない、と言われる。
隣りのドトールに入って同じ質問をするとそこもない、と言われ、仕方なく小さなコーヒーを注文する。
素晴らしい晴天。
高幡不動尊への山門は、窓際の席からは見えない。
澄んだ青空が、大きな窓から見渡せる。
いやなふがふが笑いの男性サラリーマンがふたり入ってきて、座ってからはまったく会話しないので助かった。
斜め向かいに茶髪がぞろっと長い、コゲ茶色のベレー帽をかぶった女性。
同系色の長めのセーターにロングスカート、足にはボアの着いた短ブーツ。
つい、いくつくらい?と見てしまう。
若作りしているかんじ。
こういうファッション案外若い女性はしていないから。
色白のきれいな肌をしているが。
じろじろ見すぎたのか、気がつくと居なくなっている。
トレイを戻し、帰ろうとしたときに、奥の席に居て目をそらした。
向こうも私を見てたのだ。
年齢を値踏みする私の視線は、さぞ不快だったろう。
自分の年齢についていろいろと考えるようになってから、他のひと(女性)の見た目年齢がどうしても気になる。
ドトールを出て、あの通路をどう通過したのか、思い出せないほど、先を急いだ。
高幡不動の紅葉を、わなわなと震えた、心がざわざわ乱れて右往左往したあれはなんだったのだろう?
その日のうちにザックを失うことになる予感だったのか。
ザックとの9年8ヶ月の終了は、私にとって大型犬と過ごす人生の最後となり、これでいよいよ老年期に入る、ということでもある。
ザックの喪失は、さまざまな喪失の集合であり、かれの不在にまだまだ慣れることはできないが。