生まれて初めてのことだ。
ベッドの上に身体を起こすことができない。
起き上がろうとして、起き上がれない。
ん?
ど・どうしようと汗が吹き出る。
起き上がれなければ、そのまま寝ていればいい、という選択肢はない。
怖いのだ。
うつ伏せになったまま、そろそろと足から下ろし、そのまま床に座ろうとして座れない!
身体を起こせない、とりあえず腕の力だけで上体を支える。
そんな事態が、お盆の休み中続き、家族の休みは、私の介護でつぶれた。
先月末に、最初の異変があり、ゴッドハンドの元へ車で運ばれたときは、名前を呼ばれても四つ這いにならないと先生の前まで行くことができなかった。
そして、翌日の仕事、なんとかなるだろう、と外へ出たが、歩けない。
そのとき、全身の力を使って、身体を無理やり動かして、30分以上の道のりを強引に、へんな格好をしながら、ときにはだれかの家の壁に手をついて、歩いてしまった。
タクシーは通ってないし、ドタキャンすることは憚られる。
今から思えばどんなに顰蹙でも、ドタキャンをするべきだった。
その後、順調に回復しているように思えたが、どんと気温の下がった日の朝、もう一度ぐきっとやってしまった。
なんでも、2度目は大変である。
なんやかやで、3週間、頭を下にして身体を曲げることができないため、風呂の栓をして水を張る、洗濯槽から洗いあがった洗濯物を取り上げるなど、はむり。
夫所有のアンドレ・マッソンのリトグラフ。
具合の悪いときには、この絵を見ながら横になっている。