昨年、池上の桜を見に行ったものの、桜はまったく咲いていないし、誘っておいて1時までです、と早めの終了時間を知らせてくる友だちと、
今年の花見の場所を鶴見と決めた。
その友だちとは長いつきあいになるのだが、話しがぽんぽん弾むという間柄ではない。
自然にすいすい話しが続くこともあるにはあるが、とぎれとぎれの話しにやや間のもたない気持ちになることも多い。
それでも、ずいぶん長いつきあいになるこのひとが、だいたいすきである。
三ツ池公園に行った。
バスにようやく乗ったものの、降りるべき停留所を乗り越してしまったらしく、
え?ときょろきょろしはじめてから、反対車線に「三ツ池公園→」の看板がみえた。
友だちにそれを言っても、なかなか降りようという決断ができず、もうひと停留所くらい乗り続ける。
ようやく三ツ池公園に到着し、池の縁に座って彼女の用意してきてくれたコーヒーを小さな魔法瓶から小さな紙コップに注いでもらって飲み、池をながめて一息つく。
大きな池にやわらかな水面がひろがる。
初夏のような暑い日で、風が強く、まだ散っていない桜の花びらをざざーっと舞い上がらせる。
しばらく公園を歩いて、正面口を探すが、西へ行こうする彼女に対して「正面」といえば東だろう、と思うが、三ツ池公園初心者は再訪の彼女に従うことになる。
途中の看板地図でやはり正面口でないことがわかる。
回れ右をして、元来た道を下っていくとき、不思議な感覚がおこる。
すいっと腰の位置が上がり、景色がべつなものに見える。
山肌に立つ木々が、つよい風に揺れて、こちらめがけて倒れかかってくる。
南口から出て、バス停まで急な坂道を登る。
ベビーカーを押す若い父親の背中を見ながら、おっかない。
もし何かの拍子に手を離したら、ベビーはカーもろとも転落するのだ。
母親はへいきで、手ぶらで離れたところを歩いている。
バス通りに出て、県立鶴見高校の前のバス停の時刻表を見ると、なんと14時から16時まで空白。
むこうからやってきた学生風のひとに別のバス停をたずね、またそこまで歩くと、乗客が列を作って待っている。
日差しが強いので、マスクとサングラス。
バス通り沿いの家と家のあいだの傾斜のある道の日影に、みなさん一列になってバスを待つ。
友だちと別れて、私鉄に乗ってサングラスがないことに気づく。
ものを落としたときのいやあな気持ち。
帰宅してばたばたと眼鏡屋の電話番号を調べ電話したが留守電。
つぶれたかも?
1日強い風と光にさらされて、坂道を歩き回った疲れもあるし、落ち着いてからにしよう、と思う。