こころの時代

辺見庸という作家を「あたいはわりとすきです」と手紙に書いてきた友だちは、もう死んでいて、相模原の事件を知ることはない。

彼女に推薦されて一冊くらい読もうとして、熱感というか、生ぐささというか、さきを読めなかった。

その作家が生活クラブ生協のむりやり購読させられる「生活と自治」にエッセイを載せていて、おそるおそる読んでみると、いつからか愛国者のようになってしまった死んだ友だちが「すき」といった理由がわからない。

そのなかで自身がマヒのある身体になってしまったらしいことが書かれてあり、欄外に「こころの時代」で近況が流れるとあったので、どうだろう〜と思いながら予約録画してみた。

一時間の番組だが、十五分ごとにやすまないと観続けられない。

でも、最後のチビの黒チワワに不器用に水を飲ませているシーンまでやっと観終わって、あの事件に対してこれまでで一番正しいアプローチのように思う。

なかなか過激である。

死んだ友だちの主張とは真逆のようなのが謎だが。

 

同時に「裸足で逃げる・・沖縄の夜の街の少女たち」というのを読んでいて、すっかり耳になれた沖縄のことばのくせが、聞き取りの文章から沁みてくる。

ここ三週間ばかり、ラジコからラジオ沖縄を聞いているのだ。

ラジオ沖縄だけが、完全に網羅されているようにみえる(きこえる)全国のラジオネットワークからすこしはずれているように思う。

 

こっちのあたまがおかしくなってるのか、と混乱するようなことが平気で起こっている。

都立高校の廊下で、教師が生徒にすさまじい暴力をふるっている動画を、道行くひとに見せて街頭インタビューをし、

「これくらいわたしたちの時代はふつうだったけど、いまはねぇ」と言うおばさんや「どっちもわるいどっちもどっち」など同じ高校生に語らせる夕方のテレビニュース。

教師が生徒を殴りつけ、胸ぐらをつかみ引き倒し、なおかつ執拗に暴行を加える事態は、ふつうではない。

異常である。

それを「ふつう」と言わせ「ニュース」として報道する、どうなってんの?

と怒りがおさまらない。

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