出雲

先週末、姪の結婚式が出雲大社であった。

土曜日のフライトに乗って日曜日が友引で挙式、帰る便がないのでもう一泊して月曜日の昼過ぎに帰ってきた。

腰の調子が万全ではなく、やや心配したが、伯母からゆずり受けた黒留袖一式を持って出雲へでかけた。

早いフライトで着いたのでカフェでモーニングを食べ、ホテルに荷物を置いたあと、以前ランチを食べた民家を改造した古民家レストランへまた行きたいと、と思って検索したら、そこは松江であった。

出雲は2012年の夏に行っていて、そのときは松江に泊まった。

古民家レストランは旅チャンネルの町田さんも紹介していたのに、なんと閉店。

時間切れで入れなかった小泉八雲邸に今度こそ、と思って出雲駅までバスで行った。

蒸し暑い。

行くのに時間もかかり乗り換えもあることがわかり、翌日の式のこと、またその翌日のことを考えると、今日はゆっくりしたほうがいい、といつものように予定変更。

観光モードに入っている夫はしぶしぶ。

出雲駅前で和食ランチ刺身定食を食べて、少し田舎道を歩いてからホテルに帰った。

ホテルでごろごろしていると、式のスケジュール表を持って、前日に出雲入りしている姪カップルが登場。

結婚式のリハをしてきたところとかで、ふとんを二枚着ているみたいだよ、暑いよ、と笑っていた。

二人とも元気はつらつ、式の段取りを説明してくれた。

このふたり、付き合い始めたてにおじちゃんとおばちゃんに会ってほしい、と姪から連絡を受けた。

「自分に自信がないから」だったのだが、こうして数年後に結婚の運びになるのはなんだかうれしい。

 

二人が帰ったあと、することもないので早めの夕食をホテルで取る。

和食御膳。

すばらしい小鉢がならぶひとつひとつが丁寧でおいしい。

とくに白たけのこの和え物がすばらしかった。

夫の御膳には白たけもこなしで、きんぴらごぼうだったのは、なぜか?

 

明日は強行軍だから、と早めに寝た。

午前一時ごろ、どうもきもちがわるい。

漢方を飲んだら、もっときもちがわるくなって吐いた。

四時ごろまで吐いて、お腹も痛くなった。

こりゃあ、式はむりだ、と思う。

ぐうぐう寝ていた夫を起こして、ちょっとむり、と言うと。

かれは私の体調のことより、式に欠席することのほうが気になるようである。

私のこういう症状に慣れきっているのだ。

 

五時頃、熱いお湯に入って腰湯をすると、すこし楽になった。

思い切って、レストランに降りて行き朝食のおかゆを食べてみる。

午前中いっぱいベッドでごろご、二十分ほどの式にはなんとか出られそうだから、食事会はパスしよう、と決める。

予約した美容院「ビューティーサロン池田」に出かけ、黒留袖を着せてもらう。

暑いなかを着付けの先生のとこへ行って習い、二日ほど練習したが、ひよくえりなるものの処理が難しく、慣れないホテルの部屋で着るのは、やっかい、と途中で考えを変えたのだ。

髪をアップにするのも自分でやるつもりだったが、どうもシャンとしないので、セットもお願いすることにした。

ホテル近くのビューティーサロン池田までとぼとぼと信号無視して歩道を横断。

ちょろちょろ下水道の流れる田舎道を歩いて、だれもお客さんのいないビューティーサロン池田。

着付けを担当してくれるのは、地味なおとなしそうな女性。

左手の薬指に結婚指輪。

このひとはほとんどなにも言わないが、かんじはわるくない。

受け答えも、ほんのりやわらか。

それまで遭遇した出雲のひとびとは、おしなべてかんじがよい。

自転車道を川沿いに散歩している途中、後ろから追い越す自転車にあいさつをされる。

車は歩行者であるわれわれを待って先に通してくれる。

ホテルの従業員さんは、あくまでも笑顔をたやさない。

 

できあがった「夜会巻」なる頭と黒留袖の自分。

前夜の身体症状で顔はげっそりして目が落ち窪んでいるのが残念。

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