ギックリ

とうとうひと月・・。

ある朝、ベッドから立ち上がると腰がまっすぐにならない。

2月22日のことである。

いや、これまでにもあったし、

こういうかんじのとき、

と予定をキャンセルせずに外に出ると、どうしても歩けない。

ますますドタキャンしずらい時間に突入している。

タクシーを呼んで出かけて、帰宅すると完全に足腰立たない状態になっていた。

二日ほど寝たきりの状態、トイレへ行くために杖が必要となる。

立ったり、座ったりのたびに再びぎくっとなりそうになる。

これをもういっぺんやってしまったらOUTである。

頼みのツナは入浴であるが、ぎっくり一日目は起き上がることもでてきずお風呂なんてとんでもない。

二日目は、浴槽をまたぐのが困難であったが、なんとかお湯に浸かる。

三日目はなんとかまたげるようになり、

四日目はだんだん手足を伸ばして湯船に浸かることができるようになる。

一週間後、ようやくゆっくりでも回復しているな、と実感できる。

 

整体で「眼を使うな」と言われたのでひたすらYouTubeで朗読を聞きつづける。

FMシアターやFMドラマをかたっぱしから聴く。

根岸季衣さんの声にはびっくりした。

このひとのセリフだけ他の出演者からくっきり浮いているほど。

この女優さんはたしかつかこうへいの劇団にいたのではなかったか。

ひたすら聴く。

シアターに飽きて朗読へ。

夏目漱石坊っちゃん」は三回聴く。

これは読むより聴くほうが入り込める。

芥川龍之介の短編「捨て児」おもしろい。

山本周五郎は好きだったし、自伝も読んだが、今聞くと女性像がビミョー。

ネタが切れてきたので林芙美子の「浮雲

とんでもない長編である。

いつまで聞いても終わらない。

すぐに終わってしまう短編ではあきたらなくなったので、これで当分ネタ探しをしないでよいという安心感はあるが、登場人物がやばい。

男も女も、なんやねんコイツ、しょうもないヤツ。

ストーリー展開もだんだん破綻してくる。

舞台は第二次世界大戦中のインドシナである。

マルグリット・デュラスの時代とかぶるのではないか、と思って調べてみる。

生年月日は、林が1903年〜1951年

デュラスは1914年〜1996年

林芙美子は47歳没で早く亡くなっている。

苦労したからなぁ。

デュラスはレジスタンスで活動したり最初の旦那が投獄されたりと同じく大変な状況を生き延びて、81歳まで生きた。

最晩年のデュラスは東欧系だったか同性愛者と同居していた。

身体の大きな美形のひとだったと記憶している。

どちらもたいへんな人生を送った女性である。

林芙美子の叩き上げ感がすき。

彼女の描く貧困、体当たりの生活がすき。

「女の無頼派」と関川氏が評していた。

養子縁組した子どももすぐに亡くなってしまった。

 

ベッドで本を読むことはやめよう。

このまま腰が回復したとしても。

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あれから十年。

過ぎていくこときは見えないが、2011.3.11.14:46:18という数字に圧倒される。