ひさしぶりに着物を着た。
ひさしぶりに会うともだちは、値踏みするような目でみることも 、マウントを取られた、などと思うこともありえない。
ずーっと腰の具合がわるく、体調も低迷していて、着たいなあ、と思っても、
ちょっとまて・・と首のこわばりのことを考えたり・・段取りとエネルギーを思うと「やめておこう」となる。
腰もましなようだし、天候もランチの場所も、ともだちのキャラも邪魔な要素はなにもない。
着替え始めたら、なんとすきっとお太鼓も難なく締められた。
時間ぴったりに現れた彼女は、
「あら〜着物で来てくれたの!」
と笑顔。
ランチは、和食の店で牡蠣フライ定食。
お茶は、コーヒーとケーキ。
午後二時半くらいになると体力がもたなくなって、くらくらしてくる。
帰ろうか、と分かれて私鉄に乗って帰って来る。
めったに会わないが、40年以上のつきあいのこのひとは、別れるときはいつもちょっと涙目になる。
八百屋に寄りたいのだが、着物を着ているのでやめておく。
奇異な目で見られるのもいやだし、
すてき!などとお世辞を言われるのもいやだ。
めんどくさい。
ひとがどう思おうと関係ない、という境地にはなったことがない。
常にひとの目を気にして、マインド・リーディングして、腹を立てたり、うぬぼれたり。
ひとの目を気にして生きるほど不幸なことはない、と言ったのはだれだったか。
ケーキは大ぶりで、食べきるためにはコーヒーが足りない。
友だちは、コーヒーのお代わりを注文してミントチョコケーキを完食。
私は、迷ったが、コーヒーのお代わりをあきらめ、ケーキを残した。