2022-01-01から1年間の記事一覧

フィッシュマンズ

日本映画チャンネルで、音楽ドキュメンタリー傑作選をやっている。 「遠藤ミチロウ」というロック歌手のことは知らなかった。 私にとって遠藤といえば、遠藤賢司である。 ミチローウさん自身が監督をしたドキュメンタリー映画で、こういう世界もあるのね、と…

牛腸茂雄写真展

朝、起きるとテレビを点ける。 Eテレで写真現像をしているひとが映っている。 犬の白黒写真が飛び込んできて、見入ってしまう。 父が下町でDPE屋を営んでいたので、子どものころから写真雑誌を見てきた。 好きな写真は切り取ってスクラップを作っていた。 い…

Gについて

夏休み明けのできごと。 日野の現場へ行くために高幡不動駅でモノレールに乗り換えるのだが、 水道で手を洗い、水滴のついていない向かいの鏡だけのカウンターで顔をチェックしていると、鏡の奥で特有の歩き方、やや左右にかたかた傾けながら、速いスピード…

神之木公園

神之木公園にはクマンバチが出没するらしく、《近づかないでください》と書いた紙が木のふもとに貼ってある。 紙にはA4くらいのサイズで上を向いたタテ長のハチの絵が描かれている。 9月にこの公園に入ったら急に裸足になりたくなって靴と靴下を脱ごうか、…

百歳の大伯母

今月9月18日に満100歳の誕生日を迎えた大伯母(祖母の末妹)から、ひとりで来てほしい、と電話があったので、出かけてきた。 運悪く、蒸し暑かった朝の天気が、王子で京浜東北線に乗り換えるころには肌寒くなる。 地下的のなかではハンド扇風機を顔に…

清澄白河

土曜日は、台風と予報を聞いていたが、起きてみたらそんなことはなく、 その週の不調を週末にためこんでいたくない一心で出かけることにした。 ハガキで案内をもらっていた中川さんのジュエリーを見に行ってみよう。この方のアクセサリーを初めてスパイラル…

Fathers

「Fathers」という短編がある。 アリス・マンローが育った、農場が舞台である。 作家が「書き尽くした」と述べている家族の歴史の場所であり、母親がその貧しい農村部から娘を解放させたくて、町の学校に通わせるため、わざわざ町に倉庫を借りて住所を登録し…

少女像

「これは平和の少女像です」という説明書きがあった。 しずかに平和を祈る像。 肩に乗せたきいろの文鳥が可愛らしい。 像の隣に同じ高さの椅子が置いてあって、観たひとが一緒に座って写真が撮れるようになっている。

名古屋 in 2022夏

新幹線ひかりで名古屋。 名古屋には美味しいものがたくさんある、と聞いている。 日帰りなので、新幹線のなかで食べたいものとお土産に買って帰るものをあらかじめ決めておいた。 祖父が三重の出身だったので'おくに'に帰るときは、名古屋から近鉄に乗ったも…

ロバート・ウェストールという作家

中毒のようにYouTubeの朗読を聴いていると、 「海辺の王国」というタイトルが画面に浮かんできて、なにも期待しないで聴いていると、めんどくさいように感じた展開がだんだんと面白くなる。 自宅をドイツに爆撃されて、両親と妹を失った少年が犬と一緒に海辺…

投影

その友人とは、私が居候していたようなこともあったし、 私が海外にいた頃は彼女が長逗留していたこともあり、 傷つけたり傷つけられたり、 親しいんだか、親しくないんだか、 しかし、付き合わない期間もあったが決別することなく、かといって再び親しく付…

湯河原町

せっかく湯河原で朝を迎えたのだから、朝の海へ行ってみよう。 一泊2食付きで、1万8000円。 温泉とヴィーガンの宿。 朝食は、8時半から。 6時少し前に宿を出た。 前夜、宿のひとに海への行き方を聞いたのだが、どうもうまく説明できないとみえて、地図をく…

住まなかった家 39/4フラワーロード 

この文章と、写真を一緒に記事にしようと長らく探してきた写真が去年の連休の大整理のときにみつかり、あった!と傍によけておいたはずが、どうやり捨てるほうへ流されてついに見失った。 家族の記念の写真を取捨選択するという気の重い作業を、気合をいれて…

半日

森鴎外の「半日」という作品について、吉本隆明がこういう作品を作家は残しておくきべきだ、と書いていた。 高橋たか子という高橋和巳のワイフが、夫が死んだあと暴露的な私小説を発表して、高橋の評価がガクンと落ちたことに憤慨しての発言である。 生前自…

新日曜名作座

とうとう二月いっぱいかかってしまった。 左の首から肩にかけての痛みが徐々に強くなって、とうとう寝付いてしまった。 横になっていても痛い、眠れないほどではないが、寝返りをうつにも、いたい、いたい、いたい、いたいと数秒おきに言っている。 野口整体…

スキー

昨年、思い切って日帰りスキーへ二回行った。 スキーは何度も中断しているので、万年初心者のまま、ハの字に足をひらいて滑るためひざに負担かかり、左ひざを傷める。 それでも、なお行く。 二十代後半に役所のスキー合宿へ行って、初めてスキーを体験して夢…

失策行為

はっきりした夢をみて、ああまた彼女か、ぱっと目が覚めて過呼吸になる。 夢に出てきた人は、もうずっと前に亡くなった友人だ。 目が覚めて思い出すのは、彼女自身ではなく、彼女の友だちで、死後に知ったひとだ。 私は、そのひとと彼女がそれほど親しいとは…

ひろこさん

夕べ、とろとろうとうとから眠りへ深化しようとした矢先、ひろこさんを思い出した。 ああ、ひろこさんというひとがいて、助けられたんだった。 そのときは助けられたという意識も大してなかったが。 彼女がいまどこでどうしているか、もう探そうと思っても探…

2022元旦

「私の木」と呼ぶ木は、おそらく榎だろう、枝がつやつやしてなめらかで、腰よりやや高い位置にすっぽりとお尻が入るようなお誂え向きのくぼみがある。 この前土手に出たとき、私の木の周囲にオレンジ色の侵入禁止のひもが張られていて、いやな予感がした。 …