土曜日は、台風と予報を聞いていたが、起きてみたらそんなことはなく、
その週の不調を週末にためこんでいたくない一心で出かけることにした。
ハガキで案内をもらっていた中川さんのジュエリーを見に行ってみよう。
この方のアクセサリーを初めてスパイラル・ホールで見て以来、気になって何回か出かけているのだ。
清澄白河という場所は、東京都の現代美術館があり、小さなギャラリーが点在していて帽子の展示会へ行ったこともあるのだが、行きにくい。
それに現代美術館はいつまでたっても工事中であった。
清澄白河の駅に着いて、まず行ったのはヴィーガン・レストラン。
ここは大変おいしかった!
ていねいに創られている、気のこもった味にとても満足した。
店内が狭くて、カウンターに座ったが、テーブル席のわかいカップルの話しに耳を傾けた。
映画や小説や漫画のマニア。
ふたりとも泣き虫のようで、なにを観て泣いた、かにを読んでもうだめ、涙出てくると、双方の泣き自慢。
商店街を脇に入ったところにこぢんまりと一件を構えている。
商店街がしぶい。
のらくろ商店街。
そこから中川さんの展示場「ろか」というギャラリーへ行く。
川を渡ったり、広い道路をわたったり、カンカン照りの秋晴れの下を歩く。
私は、老眼鏡を忘れて、困ったなあ、と思っている。
はっきり見えないとはっきり考えられない。
川沿いに都営住宅があり、前を歩いていた緑色のブラウスを着た女性が敷地に入っていった。
清澄白河という地名も場所も、最近まで知らなかった。
そんなところに都営住宅があるということも。
その辺がどんなところかも。
ジュエリーは、ひとつひとつ素敵だが、今回も買うところまで行かなかった。
興味を惹かれるのに、いつも購入まで行かない。
作家さんには申し訳ない。
さ、帰ろう、と思うが、まだ憑き物がとれてない感があり、メガネはないしなにやってるかわからない現代美術館まで行ってみる気になる。
また相当に歩いて、生まれ変わった現代美術館に行ってみる。
何回か行っているはずなのだが、入場口がわからない。
やっとたどり着くと、すごい建造物に変貌してしまっている。
広いエントランスに水が流れている。
エコじゃないなぁ。
長い長い工事期間を経て、ここまでのものを建てる意味あるの?
とツッコみたくなる。
開催されているのは、ジャン・プールヴェという建築家の「椅子から建築まで」というもので、椅子だったらメガネなくてもいいか、と行くことにしたのだが、
いやいや、これがすごかった。
入ってすぐに、いろいろ書いてあるのは読めない。
ただでさえ、暗いホールにそこだけ光を当てた文字は老眼にやさしくない。
バスして、最初の展示のテーブルを見て「えっ」と胸をつかれた。
なにこれ?
たかだかテーブルである。
ダイニングに置かれてご飯をたべるようなテーブル。
でも、そこに表れているフシギな空気?オーラ?
なんだろう?
数々の椅子たち。
幼稚園の椅子については、保育士が持ち運びするのに重すぎて腰を痛めるだろう、と現場の声。
今は、軽くて安全な子ども椅子が考案されていて、保育士が何個も同時に運べるようになっている。
組み立て住宅も地下展示場にそのまま展示されている。
ギロチン窓。
古くさい女子校の旧校舎はこの窓であった。
ギロチンから首を出して外を眺めるのがだいすきだった。
なかには入れないが、建物と触れ合えるようになっている。
テーブル一台でこんな感動を味わえるとは思っていなかった。