意地悪な力に負けない、と言ったのは大江健三郎。
勉強はできたかもしれないが、風采はあがらず、不器用そうで、気も弱そうだから、ずいぶんいじめられただろう。
ノーベル作家になってからも、なんのかのと意地の悪いことを書かれていたし。
ヨーロッパ在住のひとの話しである。
同じ日本人で、ただヨーロッパに永年いるというだけで、こっちをバカ扱いするのはどうなんだろう。
これが、例えば東南アジア在住とか、インド人妻であるとか、ロシア在住というのなら違うのだ。
ヨーロッパとか北米とか(ブランド)の国となると、日本のひとって、と見下してくる。
あんた何人なのよ?
と言いたくなる。
娘とヨーロッパを旅行していたとき、そのひとに連絡してあちらのカフェで会ったことがある。
「オレンジジュース」
と、私が言うと(フラ語で)。
「いまのわからなかったよ」
とウェイターさんが去ったあと、ぼそっと言われた。
私の発音では、なんだかわからないよ、ということである。
恥ずかしかった。
そして、ちゃんとオレンジジュースが出てきたら、今度は腹がたってきた。
美術館に入っても、コンサートへ行っても、まず日本のひとはさあ、こんな絵が良いっていうけど、本当はダメなんだよね、だとか、〇〇という指揮者いるでしょ、あのバカ、と言ったりする。
むかついてあるひとに相談したら、ジョークで返せば、と言われた。
ジョークって、どういえば良いの?
せいぜいあてこすりや嫌味を言うくらいしかできない。
そして、言ったあと、言わなきゃよかった、と永く悔やむことになる。
だから、自分を悔やむより、悔しがっているほうがまだましなのだ。
梅雨のむしむしする京王線で、いつもなら座れるのに、混んでいて座れなかったとき、ふいに思い出したこと・・。
はやく梅雨があけないかなあ。