これまで結婚式に出席した回数は、ひとと比べてすくないと思う。
呼ばれて断ったこともあるし、当然呼ばれるだろうと思っていたら呼ばれなかった、ということもあった。
なんとなく縁がない。
姪っこの結婚式の前夜、きもちわるいぞ、と思ううちに吐き出して、午前四時ごろには腹痛まで始った。
これは、ちょっとだめかも、と思いながら悶々と寝汗をかく。
親戚の手前カッコわるいなぁ、
ご迷惑おかけして、とかご心配おかけして、とか言わなくちゃならない、
やだなぁ、と考えている。
ホテルの浴室は、熱いお湯がでて、朝早く腰湯をして汗をかくと少し気分がよくなった。
式だけ出て、ひとりタクシーで帰ってきて着せてもらった留袖をやっと脱ぎ、頭はスプレーで固まっていたが、そのまま寝た。
お腹が空いていた。
夫が買っておいてくれたサンドイッチを食べたら、空腹がつのってきてクリームパンも食べた。
ティーバッグを二個使って濃い紅茶を入れ、牛乳を入れてミルクティーを作った。
出雲のホテルからは丸くつらなる山々が見え、あたかも神話のものがたりをものがたっているようだ。
やわらかく、なめらかな稜線がなにかをかたっている。
いろんなひとに会い、式の緊張もあり、あたまがカンカンしていたがそのままぐっすり眠った。
着物用ハンドバッグには入らないアイフォンを、夫の礼服のポケットに入れたまま、呼ばれたタクシーに乗って帰ってきてしまい、東京に居る娘に家電をして、夫にラインしてもらう。
いつものように固定電話は常に留守電になっているので、なんども、もしもしおかあさんだけど、とメッセージを途中まで入れなくてはならない。
そういえば、娘の成人式の日も、具合がわるくなって、横浜の撮影所でものすごいことになった。
吐き気が止まらず、吐いても吐いても何も出ないのに吐く苦しさ。
げぇげぇと化粧室にこもって大騒ぎ。
いざ撮影となるとけろっと治った。
翌朝は、午前中に出雲から佐賀に帰る夫の妹と、姪の姉のほうがホテルまで来てくれた。
かれらがやって来る前に、結婚したほうの姪が電話をかけてきた。
「おばちゃん大丈夫?」
姉がおばちゃんのところに行くよ、というのを聞いたので、自分もと電話してきたのだろう、と思った。
女三人でノンストップでしゃべってホテルの駐車場で別れた。
良い結婚式だった、と思う。
食事会には出られなかったが。