愉快な夢

講師として雇われていた幼稚園の主任、さわこ先生が着物を着ている。

アイロンがけしたブラウスをぎゅっと第一ボタンまで首を閉める彼女は、和装の際もエモンを抜くことはせず、襟の後ろがぎゅっと詰まっている。

紺色の着物である。

さわこ先生、おきもの?

と言うと、目を少しタレ目気味にし、お恥ずかしいのですが、このたび結婚することになりまして、と言う。

ええーっと失礼なほどの大声で驚くと、なおもタレ目でわらっている。

どの方?

とむこうをみると、小柄な頭髪もうすくなった男性が他の方たちと正座してるのである。

なんか、さえないかんじのひとだなぁ、と思いながらことばを探している自分。

優しそうな方、とかなんとか。

 

夢だった。

でも、さわこ先生がだれかと結婚したら、いいなあ、と思う。

さわこ先生が、いつまでも主任をしてくれていたらなあ、と思う。

先生が主任をしていたら、私も続けていたかもしれない、とも。

 

先日テレビで地方の保育園だったが、90歳すぎの主任さんがオルガンを弾いて、子どもたちが踊っていた。

さわこ先生も、90までできたんじゃん、と思う。

 

それがどういうことか、わからないが、

「むこうからきた」

と表現することがある。

どうして?と関係者全員が驚愕した彼女の退職の理由をさわこ先生は、そう言った。

自分でもよくわからないんですが、むこうからきちゃったんです、と。

 

この幼稚園を私もやめる決心をして、私の場合は「むこうからきた」のではない、ちゃんとした合理的な理由があるのだが、さわこ先生の退職が残念な気持ちは変わらない。

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