安ベエの海

木内みどりさんが亡くなった。

原発の活動をされていることを、何年か前に代々木で行われたなにかの集会にゲストとして登場するチラシで知った。

 

第一に、私はこのひとの顔がすきだった。

「安ベエの海」はポーラテレビ小説で、このひとと佐藤オリエさんの友情というよりもっと濃い、同性愛的な空気が魅力的だった。

1970年秋からの昼帯ドラマだから、毎回観ていたわけではなかっただろう。

私は17歳でグレていて、学校を休みがちで家でテレビを観ていたのかもしれない。

顔立ちからいえば、佐藤オリエさんのほうが女優っぽい派手な目鼻立ちだろう。

それでも木内さんのきゅっと小さな造作の顔立ちと、魅力的な唇から出る独特な話し方に惹かれた。

軍人さんと結婚して、そのひとは戦士する、ウィキで見ると佐藤愛子原作「加納大尉夫人」のドラマらしい。

戦士の知らせを受けたとき、木内さんが錯乱する場面を覚えている。

 

私が17歳、木内さんは19歳だった。

フェィス・ブックで回ってきた、最後のラジオ収録の写真を見ると、美しく華やいでいる。

「全う」とコメントがある。

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