チャコちゃん

中高一貫校の女子校で、急に来なくなったスズコのことを考えていたら、なぜか小学校時代のチャコちゃんのことが思い出されてきた。 チャコちゃんのあだ名は「ゾウ」 身体が大きく、どっしりしていた。 勉強がよくできて、本をたくさん読んでいた。 卒業後、…

3.11

不安なきもちは、どうしてだろう、と思ったら3.11が近づいているからなのだ。 今日はテレビをつけない。 ラジオもFMクラシックのみ。 それでも午後のこの時間になって、どうしても苦しくなった。 過呼吸のような、過呼吸になるのが怖いような。 桜の木の下に…

金満里

大雪情報の日、「ウリ・オモニ」の公演に行く。 朝から天気予報は過去の大雪の映像を流して、外出を避けるように警告しているし、前日長崎空港から羽田に戻ったばかりで疲労感が残っている。 夫は前夜ひどい咳をしていて、今日は一日休んでいるほうがよいの…

ナガサキ

ナガサキは、娘と311のときに一泊した。 娘はひとりで資料館へ行き、私は資料館の喫茶店で待った。 ずいぶんたってから戻って来た娘がまっすぐな目をして、 おかあさん、すごいよ、ぜんぶきえちゃうんだよ、と言った。 佐賀から長崎までの線からすばらしい海…

原爆ドームとひろしま美術館

資料館のあと、目指すのはもちろん広島風お好み焼き。 夫がアイフォンでランクの高いお好み焼き店を探し、そこまで歩いていくと朝出発したばかりのホテルのすぐ近くであった。 狭い店内と、成功したオーナーにありがちの饒舌なひとり舞台のカウンターと二人…

原爆資料館

今回は目をふさがずに見るのだ、と決めていた。 311のとき、保護犬二頭を疎開させるために佐賀の妹のところへ行き、当初は犬をそのまま残して娘と新幹線で東京に戻る予定だったから、原発事故を起こした国の歴史を見ておこう、とヒロシマによる予定だったの…

ヒロシマへ

ヒロシマへ向かう新幹線のなかで、つらつら思っていたのは叔母のことだ。 広島は、叔父一家が一時期転勤していた場所で、40年ほど前にひとりで訪ねたことがあり、小雨のけむる宮島へもでかけ道中鹿と対面してうろたえたりした。 そのとき、叔母は東京から…

学校システム論

暴力が学校に集中する理由が知りたい。 世界のあちこちで学校を舞台にした事件が起こる、コロンバイン高校、池田小、神戸の事件だってまず校門から始まったのだ。 その理由。 放送大学がふつうにラジオから聴けたころ、ふと耳にしたこの授業がわすれられない…

こころの時代

辺見庸という作家を「あたいはわりとすきです」と手紙に書いてきた友だちは、もう死んでいて、相模原の事件を知ることはない。 彼女に推薦されて一冊くらい読もうとして、熱感というか、生ぐささというか、さきを読めなかった。 その作家が生活クラブ生協の…

成人式の車内

意外に、空いている。 晴れ着姿の子は、駅に向かう途中ひと組みかけただけ。 ひと駅立ったが、前のひとが降車して座れた。 となりに座る若い女の子ふたり組。 大きな声でしゃべっている。 なかなか乱暴である。 なんだよあれ、Bパックってぜったいやらね。 C…

モモ

あれも読みたい、これも読みたい、定期購読している「不登校新聞」をきっちり読んで切り抜きたい、と思っていた正月休み。 とうとう読みきったのは「モモ」だけである。 この本は、これまでなんども読もうとして読めなかった児童書である。 一時はブームにな…

吐ききれない毒・・偽装

元旦に楽しみにしていた賀状が届き、印刷の隙間のわずかな肉筆からそのひとらしさがのぞいてうれしい。 年賀状は、たのしみ。 ここ数年、印字で自分の短歌を送ってくるひと、ずいぶん長い付き合いなのだが。 昨年、子どもが自立して夫婦ふたりになった。 「…

2019年正月ことはじめ・・リアルな現実

《感染注意の記》 恒例の凧揚げは、あたたかな日差しにあふれた多摩川で。 厚着をしていったが汗ばむような陽気だった。 近くでよそ行きのコートとよそゆ行きの靴を履いた小学三年生くらいの女の子が、お父さんとお母さんと一緒に凧を揚げていて、風のない空…

待ち合わせ

若い友人の誘いで、「ランドフェス」なるものに行ってきた。 お天気は雨。 「ランドフェス」とはなんのことなのか行ってみるまでわからないのは、友人の説明にやや不足がある、と思う。 私のお目当ては、舞踏家大野慶人の踊りを観ること。 「これも良さそう…

2018年のベストブック

フジコさん

昔勤めていた役所のともだちにフジコさんがいた。 そもそもなぜ、フジコさんとともだちだったか、といえば親しくしていた同僚とフジコさんがともだちだからだった。 なぜ同僚がフジコさんとともだちだったのか、といえばふたりとも年がら年中遅刻しそうにな…

第一次世界大戦終結 アリス・マンロー「Family Furnishings」 より

BBC放送のキャスターやリポーターが赤い花のワッペンを胸につけている。 今日は第一次世界大戦が終わった日です、と日本語同時通訳のアナウンサーが米国大統領や、テロ、死刑になりかかったものの釈放された女性に対して抗議デモに集まる男たちの拳、などの…

土曜日の銀座

休日にひとりで家にいるのがいやなので、朝早く出た夫につづき、早めのお昼を食べて外出する娘と一緒に家を出た。 フェイス・ブックでちょっとおもしろそうな絵画展の記事を見たので、思い切って行ってみることに。 夫と違ってアイフォンの地図ではなく、手…

東京暮色・・・ニッポンのミソジニー

テレビをつけると偶然、小津作品が放映されていて、 どうやら地元蒲田らしい風景があって、引きこまれる。 その昔、小津作品が好きな友だちがいて、かれらと一緒に名画座やレンタルビデオで観たころとは違う、 すばらしい画像である。 白黒ではあるが、リマ…

月焼け

昨日は満月で、老眼のすすむ目に果たしてまん丸なのかいびつなのかはっきりしない。 満月だよ、と言われて、ああ満月だ、とはっきりする。 こうこうと青く輝く月のひかりを浴びると、日焼けならず月焼けしそうである。 この季節の月は、空気が乾いていてくっ…

手紙

手書きの手紙は、ほのぼのうれしい。 文字には、そのひとらしさ、中学から高校となり、アナーキーなひとがらをいつしか「よいこ」にキャラ変えし、それでもそのひとの書く字は、中学生のころの彼女の面影を濃く写している。 ちょっと乱暴で、なりふりかまわ…

ニュースの結末

がっかりした。 まさか、と思ったが。 こいつが最高裁判事として永久に米国の立法府に君臨することになるとは・・。 反対運動していたひとたちの姿もいつのまにかニュースから消えている。 こんな気分になるなら、はじめからニュース観なきゃよかったよ。 う…

ニュース

週末、BBCのニュースで、エレベーターの扉を閉めようとしたところに強引に入り込んできた女性ふたりに詰問される男性の映像が繰り返しながれる。 エレベーター内に一緒にいた女性たちがなんどか扉を閉めようと手を伸ばし、乗り込んできた女性を追い出そう、…

白熊ピース

誕生日の前々日、65歳になるまぎわで、少々感傷的になっていたのか泣きっぽい。 テレビを観ていると、白熊と飼育員さんが出てきて、よくみるとピースだった。 2009年の1月にやはりテレビで観た映像に心を打たれて書いたブログの白熊ピースであった。 https…

気がつくとなくなっている

お気に入りのものや店が気がつくとなくなっている現象。 立川ルミネにあった平和食堂のチャンポンはチョーおいしかった。 仕事帰りに寄るといつも椅子に座ったひとが並んでいてなかなか入れなかったが、イベントのある日などに時間をずらして入って味わうの…

運動会

保育園の運動会で楽しみなのは、卒園生と会えることだ。 何人か気になる子がいる。 前の日から、なになにちゃんくるかなあ、あいたいなぁ、と思っている。 昨年受け持った子で、アトピーがあり他の子と一緒にいる光景がなかなか見られなかった子、 ゼロ歳か…

妙薬あるいは毒

もやもやした台風の気圧。 頭がもやもやしていて集中できない、身体がぼてっとしている。 気分転換に外へ出るには日差しが超列で、 天気予報によれば危険な暑さ、無用な外出を避けろ、と警告を無視する根性はもとよりない。 わなわなしていて止めようがない…

台風

台風が去って、わがやにやってきたちびちび爆弾ならぬ、りえりえ爆弾が帰った。 りえと私は、九つ違いのいとこで、赤ちゃんのとき、つまり昭和37年当時、週末には親の家を訪れ、孫の成長を見せる、というのが一般的ではなかったか。 祖母と同居の家にちょ…

愉快な夢

講師として雇われていた幼稚園の主任、さわこ先生が着物を着ている。 アイロンがけしたブラウスをぎゅっと第一ボタンまで首を閉める彼女は、和装の際もエモンを抜くことはせず、襟の後ろがぎゅっと詰まっている。 紺色の着物である。 さわこ先生、おきもの? …

同級生

実家の写真店があったのは、第二京浜国道と産業道路のあいだをむすぶ下町とも言い切れない、商店街というほどの規模もない、住宅街ではない、中途半端な地区で、 いまはもう消えた店舗あとに今風のマンションが建ち、周囲から浮き上がっている。 周辺の町工…