メークアップの化粧品はゲランと決めている。
あなたくらいの年齢だったらゲランかシャネル、と若い友人からはっきりと言われたのが効いた。
10年以上前のことだ。
そして、ゲランは松屋ですよ、と。
松屋のコスメは、他のデパートの化粧品売り場に漂う女の場末感がない、というのも同じひとからのアドバイス。
以来、年に一度か二年に一度くらいのペースで、松屋ゲランにメークをしてもらいに行っては、最小限度の化粧品を買い、あとはネットで購入するという方法を取っていた。
コロナで、メークしてもらう機会はなくなったが。
先週、紫外線よけ下地がなくなった。
ネットで調べると、これまで使っていたものは廃盤となり、ネットで買うより、ポイントを付けてくれる東急百貨店で買うのがやや得、という結論になった。
若い新米っぽい美容部員に誘われて予定していたクリームの三倍の価格のものをつい購入してしまった。
また、ゲランの魔法にかかってしまった。
ついでに、これはもう在庫が限られているものですが、
と光るような光らないような粉・ルミナイザー・をパフパフしてくれる。
これ以上は、と思い切って立ち上がったが、立ち上がってゲランを後にしてから、ずっともやもやきもちにひっかかって、
いっそ買ってしまおう!
と思う。
翌日松屋のゲランに電話して問い合わせると、パフとして使用するなら、二種類ある粉の明るい色のほうがおすすめです、と松屋の美容部員に言われる。
あとでわかったことだが、東急のポイント率が下がっていた。
松屋のほうが得のようなのだ。
こっちのひとのほうがベテランっぽい。
じゃあ明日朝伺います、と電話を切った。
松屋カードの持ち主である夫にむりを言って一緒にきてもらい、二種類の粉を試すとやはり明るいほうが顔全体が明るく見える、と夫がきっぱり。
前日電話で話した担当者はいない、
話しておいた内容も伝わっていない、
夫は5分くらいしか時間がなくて、すぐにタクシーで別な場所に行かなくてはならない。
とあたふたしていると、
あの、電話で対応したのはナニナニなんですが、どういうお話しだったでしょうか?
あやしいぞ、と思って説明すると、
「こちら在庫切れです」
もう夫がタクシーで走り去った後のできごとである。
明日、担当したものから電話させます。
あ・そ・
割りが合わないぞ、
話しが違うぞ、
とむらむらしながら、そのまま帰った。
翌日、とうとう電話は来ない。
在庫切れのものを、一美容部員の力ではどうしようもないだろう。
美容部員逃げたな、と思う。
松屋も落ちたな。
東急でも、こちらの商品は少ししか入っきてないから、ご購入されるなら予約されたほうが、と言われたが。
一応東急ゲランにも電話してみる、と明るいほう00番は在庫切れ。
01番くらめのものならまだあります。
もういいかな、一度は諦めたものだし。
ゲランの魔法がパワーを失う。
そしてその夜、ゲランの公式サイトからなら00番があっさりと購入できることになり、
さらにその翌日松屋ゲランから最初の電話対応した美容部員から電話が一日遅れで入った。
化粧品は、実際に肌に試してみないとわからないし、試着返品というわけにはなかなかいかないから、松屋ゲランで二種類を試せてよかったのだが、たいして混んでもいない化粧品売り場での行き違いであった。