森は生きている 前半

昨年、チケットを生協で購入したが、娘がコロナにかかり、われわれも感染している可能性があった。

老犬もあぶない状態だったので新宿サザンシアターまでとうとう行けなかった。

思い切って芝居のチケットを手に入れて、

ムダにすることがたびたびある。

 

今年、再びチケットを手にいれたが、風邪をひいて声が出なくなり、にもかかわらず年内最後の仕事の日とかぶってしまいどうなるかな、と思ったが、茅ヶ崎から新宿は湘南新宿ライン一本で行けるよ、と夫から軽々と言われたので、

《そっか、じゃどっちも行くことにする!》とあっさり決めたのだ。

 

当日はクリスマスで、前夜にプレゼントをもらった子どもはなにをもらったと自慢するし、他の子になにもらった?と聞く。

私も聞かれた。

生活困窮の家庭がどの園にも必ずいる時代である。

子どもたちの環境も複雑である。

欠席の子が多く、在園する子どもたちも顔色が冴えず、保育するおとなのご機嫌もよくない。

 

そして、湘南新宿ラインは人身事故により運転休止。

東海道線に乗って東京駅。

東京駅から中央線で新宿へ向かう。

椿カフェに入ると娘が魚介パスタを美味しそうに食べている。

夫はハヤシライスを盛った大きなスプーンをぱくぱく口に運ぶ。

どちらもセットで飲みものつき。

私は、東海道線のなかで朝作ったサンドイッチをパンくずをコートの胸に散らかしながら食べてきたので、でジンジャーエールが飲みたかったが、ジンジャーエールは置いてなかった。

仕方なくアイスティー・ガム抜きを頼むと、これがまことに美味しい!

コーヒーやお茶を美味しく作るというのは、難しいことだ。

お替わりは半額ということでお替わりをした。

 

あれ、森が生きているってお子さま劇?

いまさら・・。

保育園から集団で観劇に来ているようで、カラー帽子の集団ががやがやと前列に流れ込む。

私たちの席は、舞台中央が見渡せるよい席である。

ロはロボットのロ》を家族で観に行ったのは、青山円形劇場で、そのとき娘は六歳だったが、いまはもう31歳なのであった。

 

会場は子どもたちのかん高い声がたてに響いている、

・・と、後ろの席で激しくもめている。

振り返ってみると、一人の女の子が一人の女の子につかみかかっている。

つかみかかられて泣いているのは、どうやら妹のようである。

席を移動して、真ん中に友だちらしき女の子が座り、通路側の席に移ったやや小さな女の子は、脇に立って傍観している母親にかじりついて泣いている。

私たちがたびたび振り返っては見ているので、母親も大きな声も出せずにいるのかもしれない。

姉(らしき)は怒りが収まらず、隣りの席に緩衝材のように座らされた友だちにまで両手を伸ばして、攻撃をしかけようとしている。

そのうち、母親が妹を連れて出ていくと、怒りの矛先をどこに向けて良いかわからなくなって、座席を蹴り始めた。

つまり、私の座る列である。

もう一回やったら注意しよう、と思ったら、すぐにがんがん来た。

振り返って「座席蹴るのやめて」

と言う。

すぐに「はい」としっかり目を見て返答が返ってくる。

「ありがと」

と言う。

蹴りは治ったが、彼女の怒りはぐつぐつと煮えたぎっている。

 

《森は生きている》開演10分前・・。

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