清澄白河

土曜日は、台風と予報を聞いていたが、起きてみたらそんなことはなく、 その週の不調を週末にためこんでいたくない一心で出かけることにした。 ハガキで案内をもらっていた中川さんのジュエリーを見に行ってみよう。この方のアクセサリーを初めてスパイラル…

Fathers

「Fathers」という短編がある。 アリス・マンローが育った、農場が舞台である。 作家が「書き尽くした」と述べている家族の歴史の場所であり、母親がその貧しい農村部から娘を解放させたくて、町の学校に通わせるため、わざわざ町に倉庫を借りて住所を登録し…

少女像

「これは平和の少女像です」という説明書きがあった。 しずかに平和を祈る像。 肩に乗せたきいろの文鳥が可愛らしい。 像の隣に同じ高さの椅子が置いてあって、観たひとが一緒に座って写真が撮れるようになっている。

名古屋 in 2022夏

新幹線ひかりで名古屋。 名古屋には美味しいものがたくさんある、と聞いている。 日帰りなので、新幹線のなかで食べたいものとお土産に買って帰るものをあらかじめ決めておいた。 祖父が三重の出身だったので'おくに'に帰るときは、名古屋から近鉄に乗ったも…

ロバート・ウェストールという作家

中毒のようにYouTubeの朗読を聴いていると、 「海辺の王国」というタイトルが画面に浮かんできて、なにも期待しないで聴いていると、めんどくさいように感じた展開がだんだんと面白くなる。 自宅をドイツに爆撃されて、両親と妹を失った少年が犬と一緒に海辺…

投影

その友人とは、私が居候していたようなこともあったし、 私が海外にいた頃は彼女が長逗留していたこともあり、 傷つけたり傷つけられたり、 親しいんだか、親しくないんだか、 しかし、付き合わない期間もあったが決別することなく、かといって再び親しく付…

湯河原町

せっかく湯河原で朝を迎えたのだから、朝の海へ行ってみよう。 一泊2食付きで、1万8000円。 温泉とヴィーガンの宿。 朝食は、8時半から。 6時少し前に宿を出た。 前夜、宿のひとに海への行き方を聞いたのだが、どうもうまく説明できないとみえて、地図をく…

住まなかった家 39/4フラワーロード 

この文章と、写真を一緒に記事にしようと長らく探してきた写真が去年の連休の大整理のときにみつかり、あった!と傍によけておいたはずが、どうやり捨てるほうへ流されてついに見失った。 家族の記念の写真を取捨選択するという気の重い作業を、気合をいれて…

半日

森鴎外の「半日」という作品について、吉本隆明がこういう作品を作家は残しておくきべきだ、と書いていた。 高橋たか子という高橋和巳のワイフが、夫が死んだあと暴露的な私小説を発表して、高橋の評価がガクンと落ちたことに憤慨しての発言である。 生前自…

新日曜名作座

とうとう二月いっぱいかかってしまった。 左の首から肩にかけての痛みが徐々に強くなって、とうとう寝付いてしまった。 横になっていても痛い、眠れないほどではないが、寝返りをうつにも、いたい、いたい、いたい、いたいと数秒おきに言っている。 野口整体…

スキー

昨年、思い切って日帰りスキーへ二回行った。 スキーは何度も中断しているので、万年初心者のまま、ハの字に足をひらいて滑るためひざに負担かかり、左ひざを傷める。 それでも、なお行く。 二十代後半に役所のスキー合宿へ行って、初めてスキーを体験して夢…

失策行為

はっきりした夢をみて、ああまた彼女か、ぱっと目が覚めて過呼吸になる。 夢に出てきた人は、もうずっと前に亡くなった友人だ。 目が覚めて思い出すのは、彼女自身ではなく、彼女の友だちで、死後に知ったひとだ。 私は、そのひとと彼女がそれほど親しいとは…

ひろこさん

夕べ、とろとろうとうとから眠りへ深化しようとした矢先、ひろこさんを思い出した。 ああ、ひろこさんというひとがいて、助けられたんだった。 そのときは助けられたという意識も大してなかったが。 彼女がいまどこでどうしているか、もう探そうと思っても探…

2022元旦

「私の木」と呼ぶ木は、おそらく榎だろう、枝がつやつやしてなめらかで、腰よりやや高い位置にすっぽりとお尻が入るようなお誂え向きのくぼみがある。 この前土手に出たとき、私の木の周囲にオレンジ色の侵入禁止のひもが張られていて、いやな予感がした。 …

九十九歳と二ヶ月

九十九歳と二ヶ月になったおば、正確には祖母の末妹、とひさしぶりに電話で話す。 半年ほど前、ながく老人施設で寝たきりになっているこのひとから、祖母の昔話しを秘密めかして聞かされておおいに憤慨した。 私にとって母親代わりの祖母が、若い頃、まだ十…

鶴見せんせいの配列

父の飲み友だちの鶴見せんせいは、家庭教師で生業をたてていたが、あるとき小さな塾を経営するようになった。 町工事のドブ臭いような飲み屋に集まる鶴見せんせいと父との関係はよくなったり、わるくなったり、くり返してきた。 いちど、せんせいが金を借り…

仮住まい

仮住まいに移って二週間。 8月15日 日曜日、大雨警戒警報のなか、見積もりを取った結果、法外に思える価格の何社かと比べて格安の運送会社から、ラッパー風の若者たちが朝8時半前にどさどさと登場し、段ボールにつめてない細々したものを横目に、ぜんぶ…

神蔵美子と坪内祐三

本を整理する。 ISBMのあるものと、ないもの、 もう一度読みたいと思うもの、なにかの引用に使えそうなものと「この際思い切ってすてる!」に分ける。 いったん「この際すてる」に分類した「玉電松原物語」を段ボールから取り出して、もうしばらく「たまもの…

スーザン・ソンタグ

スーザン・ソンタグの日記「私は生まれなおしている」1947-1963を読む。 ソンタグは1933 年生まれで、2004年に亡くなっているからだいたい71歳まで生きた勘定になる。 これは彼女の生涯、15歳から31歳まで約16年間の日記である。 レズビアンでありな…

一日

カンペキな一日という日があるものだな、と思う。 いつもであれば、日野の現場はホールがひろく、子どもの数も多くて終わるとぐったりして最近では帰りの電車のなかで居眠りすることしばしば。自宅近くの駅についてから歩くのもたらたらというていたらくであ…

ゆで卵

ゆで卵のからをむくのが苦手で、へんな針が出てくる卵型のグッズを試して自分の指を刺したり、ゆでるまえの卵が割れてしまったり、どうやらむきやすくもないらしく、最近は卵の質なのかなんなのかあまり手こずることがなくなった。 ゆでた卵全体をごりごりま…

細雪

「細雪」をYouTubeで聴く、たいそうしめやかな男性の語りである。 谷崎は、一生すき続ける作家かもしれない、と全集を購入したが「細雪」が入っていないのは、「細雪」がすきじゃなかったからだろう。 しかし本棚を探すと古い新潮文庫があった。 F r.3620と…

死産とまじない

矢川澄子というひとは、子どもの絵本に関係する作家だとばかり思っていたのが、お気に入りのブログ「本はねころんで」さんの記事を読んで再発見があった。 矢川澄子が、澁澤龍彦というひとの元妻であり、なんと谷川巖と恋愛関係にあり、しかも、 というか最…

いちにち

いろんな人がいるもんだなあ、と久しぶりに外へ出るとつくづく思う。 環七を通る通勤時間帯のバスの中で化粧をする女性。 ベージュと茶色でコーディネート。 髪も自然なブラウンとかに染めて。 素足にパンプスのオシャレ。 小さな鏡を覗きこんで、一所懸命眉…

養生施設

数年に一度おとずれる養生施設に行ってきた。 ここには断食目的で過去に五回ほど訪れた。 断食自体は、四十代から数回行っているが、初めて行ったときの爽快感と宗教的ともいえる体験にはその後及んだことがない。 六十を超えると、施設では断食を勧めない。…

ギックリ

とうとうひと月・・。 ある朝、ベッドから立ち上がると腰がまっすぐにならない。 2月22日のことである。 いや、これまでにもあったし、 こういうかんじのとき、 と予定をキャンセルせずに外に出ると、どうしても歩けない。 ますますドタキャンしずらい時…

「たまもの」

「なんじの神をあいせよ」と「なんじをあいせよ」はイコールではないのか? 神蔵美子さんの「たまもの」というい写真集を中古で手に入れて、あたかも自分が環七通りのマンションに暮らしていたような、あたかもそこから三軒茶屋まで歩いていたような、そんな…

中島らも

このところの寝る前の習慣。 中島らもの声をYouTubeで聴く。 アルコールと薬で滑舌があやしくなったらもさん。 なぜこのひとのことばが子守唄として響くのか? そもそもどこから中島らもだったっけ? 目がわるくなっていて、寝ながら本を読むことをなるべく控…

世田谷線

調布の現場へ行くために、二子玉川から1時間に2本出ているバスを利用していたが、コロナ換気で窓を開けているので、朝の冷気がビュービュー頭の上に吹き込んできて寒くてしょうがない。 1時間乗るのである。 途中もぞもぞと座席を変えたりしても、どうした…

2021元旦

もう何年も前から正月らしさを感じることがなく、むりに正月を装うような気分でもないので、ぼっといつもの通りの朝を迎える。 夫がむじゃきに 「あけましておめでとう〜」と起きてくる。 娘が「アケオメー」と起きてきて、ひとりで遅い朝食を作り始めると、…